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主宰の八句 2021 3月号

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高野山終大師     

冬虹の根の濃きあたり高野かと
水洟を詫びつつ高野詣かな
御大師の膝下に()ねて霜の声
ともかくも奥の院まで雪を搔く
千年のこの底冷を生き給ふ
凍えつつ終大師の餅貰ふ
曲がりてもまだ底冷の長廊下
秀次公自刃の間とぞ冷えまさる



2021/2/27  更新

主宰の八句 2021 2月号

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小春の座    

釈迦牟尼のおんてのひらは小春の座
小六月母が隣にゐるやうな
抱卵の身を日に透かせ柳葉魚干す
豊饒の海の一滴牡蠣啜る
溜息が白息といふ形なす
石垣のここにも江戸の大火跡
初霜や枯山水は氷河期に
柊の香や消息は久に絶え

2021/1/27  更新



主宰の八句 2021  1月号

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てのひらを蹴られつつ捕る蝗かな
蝗跳ぶ入日に翅を透かせつつ
振り塩の溶け頃を待ち衣被
富士山はどこも正面秋澄みぬ
爽やかや弥陀と手綱で結ばれて
椎の実は思惟の形に平林寺
野火止の野火の火群の彼岸花
粥座から薬石までを昼の虫

2021/12/26  更新


主宰の八句 2020 11 月号

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  盤水先生没後十年     

  墓前五句

閼伽桶が年々重し墓洗ふ
掃苔や供物の煙草燃え渋る
爽やかや先生の句もその墓も
虫鳴いて先生の墓賑やかに
昼の虫句の虫も来て師の墓辺
水打ちて枯山水を喜ばす
ふるさとに下駄の磨り減るまで踊る
  小田原城古郭
螻蛄鳴けり濠の深さを測りつつ

20290/10/29   更新



▲2016年11月26 日 読売新聞・朝刊掲載。

山晴や反りて崇なす朴落葉


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主宰の八句 2020 10月号


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山椒魚   

月山も山椒魚も動かざる
滴りが映す山河をふくらませ
曾根崎の灯を対岸に祭鱧
鱧の皮グリコのネオン届く酒肆
日盛の京を西入ル東入ル
老人の目が蠅を追ひ見失ふ
老人がただ提げてゐる蠅叩
水羊羹平らに提げて富士見坂

2020/9/27  更新

主宰の八句  9月号


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やませ

森に礼海に礼して苗木植う
この梁も津波の下と海鞘捌く
合はす手に梅雨の湿りや光堂
弁慶の股下くぐる青嵐
光堂夏蝶も色こぼし過ぐ
幻の堂宇あやめは禁色に
田の神を震へ上がらせやませ吹く
毛越寺浄土の海をやませ吹く

2020/8/28   更新

主宰の八句  8月号

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白雨

老鶯の次の声待つ長湯かな
手に受けて蛍は熱しふるさとは
神頼みなども少しく短夜を
白雨来て枯山水の熱冷ます
黴の香も丸ごと家族写真かな
歳時記を割れば黴の香黴の項
もてなしの夏炉の炎やや高し
夏炉焚く座敷童が榾足して


2020/7/25


主宰の八句  7月号 2020





        花冷        

半眼は水中に置き昼蛙
踏みどきをやや失ふも麦踏めり
つくづくし一筆箋なら書けさうな
風呂敷に包まむ京の朧月
開かぬ目で我を見てゐる捨仔猫
長閑さや見えゐていまだ着かぬバス
疾きゆゑに花筏とはなりきれず
花冷の手痛きまでにこの年は




2020/6/28    更新

主宰八句  6月号 2020

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         遅日        

きな臭きまでに空澄み底雪崩
神の名に彦や(みことや草萌ゆる
酒こぼし春愁の輪の広ごれり
角落とし後ろの鹿を躓かす
角落ちし鹿鳴きにくる西行庵
海鳴りや井桁に組みて雁供養
風あればたてがみめける春ショール
古稀の身の遅日の端にゐるごとし

2020/5/25  更新

主宰八句 5月号 2020



     八戸・えんぶり    
   
(えんぶり)摺る雪なきことを嘆きつつ
えんぶりの振舞酒に雪募る
頬紅を塗りえんぶりの顔となる
通行止めして苗植うる朳衆
えんぶりの鯛四辻に釣り上がる
抱き寄せてえんぶりの子を風囲ひ
町名に三日六日や朳摺る
脇役で八十といふ朳翁




2020/4/24  更新

主宰八句 4月号 2020


     鰤起し      

宿の梁つられて鳴れり鰤起し
魚市の一番底に平目の目
書初の一画にして躓けり
暁闇の湯気の分厚き寒造
三寒と違ふ角度の四温の眉
三寒は父に四温は母に似て
なまはげの足の縺れて藁こぼす
屋上に禰宜の来てゐる午祭

2020/3/29   更新


主宰八句 3月号  2020

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        串柿        

串柿やすぐに日の失せ宇陀郡
一言神に供へし冬至南瓜とぞ
冬ぬくし仏の由来聞けばなほ
有難し観音堂のこの冷えも
二上山(ふたかみ)を暮るるまで見て年詰まる
玉砂利の四隅まで筋年用意
興亡の亡も神とし冬ぬくし
水神の幣を新たに寒造

2020/2/28    更新

主宰八句 2月号  2020

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海鼠

神鏡に風の映れる神の留守
おでん酒昨日の客が今日もゐて
旧拓銀前朝市のたらば蟹
切られたる半ばに海鼠身構へる
啄木の失意の街の氷頭膾
力抜く十一月の山々は
短日といふも木曾路はあまりにも
ひと掴みほどの冬菜をなぞへ畑


2020/1/29   更新






主宰の八句   1月号  2020 

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   椿の実        

海光が磨きをかけて椿の実
灯台は孤高の背骨鳥渡る
潮騒も襞に刻まれ甘干に
献上の折敷に跳ぬる紅葉鮒
穭田に田の神帰りそびれしか
罠の檻歪むるほどに猪猛る
裏庭は吉野へつづく鹿おどし

  「伊勢 河合真如先生」
秋惜しむかつて神官たる人と









2019/12/29   更新





主宰の八句  12月号

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主宰の8 句 2019年12月号

         秋日和       


青空を丸ごと摑み松手入
無垢の耳のみに聞こえて鉦叩
高野いま胎蔵界に鉦叩
雨粒を尻に集めて糸瓜かな
錆鮎の焼干し吊す檜枝岐
  品川寺
虚子の句碑読む別れ蚊に刺されつつ
鯨塚などにも触れて秋愉し
寺あればまた寺に寄り秋日和

2019/11/29  更新








主宰の八句 11月号

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  全て九品仏・浄真寺にて 2019/10/28 撮影しました。
主宰の8 句 2019年11月号
九品仏初秋

秋思ひとしほ九品仏てふ駅名も
下生の身にも秋蟬の等し並み
吾が胸に切れを入れたる夕蜩
秋扇胸の閊へをあふぎをり
九品仏訪へば九品の秋のこゑ
ことごとく秋思の相の九品仏
残暑なほ阿弥陀様にも上中下
芙蓉散る濁世を見切りたるやうに

2019/10/28   更新






主宰の八句 10月号

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主宰の8 句 2019年10月号

陸奥の旅

恐山此岸より見る灼け地獄
禊湯を出て霊山のやませ受く
やませ吹く我にも名無し塔婆にも
湯桁にも年輪陸奥の緑雨かな
またたびの花まだ旅の続きをり
海鞘喰うて胸に霧笛のやうなもの
浮苗に活入れてゐるやませかな
消印は海辺の町の夏見舞



2019/8/28   更新





主宰の八句 9月号

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主宰の8 句 2019年9月号

 蜘蛛の囲        

泥鰌鍋隣の席の世話も焼く
青嵐とも木曾殿の入洛は
蜘蛛の囲の糸飛ばしたる編み始め
頼りなき甘さが頼り枇杷啜る
孑孒の百態を見てやや痒し
爪先で知る梅雨冷の永平寺
隣家にも糊代ほどを水打てり
葬儀屋に客なくてまた水打てり


2019/8/28   更新






主宰の八句 8月号

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主宰の8 句 2019年8月号

牡丹
牡丹に現世の息慎めり
余花に会ふ奥千本のその奥の
最澄の山一隅の余花明り
糶市に武者溜りめく蝦蛄の籠
鷹巣立つ枝の撓みをばねとして
しまひには蹴りだされたる巣立鳥
短夜であれば一幕物の夢
夏めくや長寿眉など切り揃へ



2019/8/11  更新










主宰の八句 7 月号

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主宰の8 句 2019年7月号

山ざくら
上千本にて残桜に追ひ付けり
深吉野の湯屋に飛びくる残花かな
手の届くあたりが冥府山ざくら
ひこばゆる系図逆さにしたやうに
村ぢゆうが焦げついてゐる麦の花
身長の縮みて古稀に柏餅
毛の生えるやつぱり四月馬鹿
突つき合ふ憲法記念日も鳩は



2019/6/27     更新










































 
画像上で拡大します。


スピーチと熱狂の鳴り止まぬ拍手喝采。


ダブル受賞の快挙・・!


溢れる程の祝賀モードへと・・。






 二次会・店内に入りきれない人数でしたが,日曜日とあって店の前の通りも通行が少なく,穏やかな天候の下、外に溢れる受賞者の二人や他結社の方々と交流するなど、思い思いにお酒を楽しみながr懇談を深め,何時までも祝賀会の熱気は冷めることがありませんでした。



  受賞 祝賀会 2019/3/17

授賞祝賀会
学士会館
2019年3月17日


更新で5秒後、再度スライドします。全14枚。
乾杯は井月の千両、千両と手締めでとフィナーレへと・・。







句集 「然々と」 伊藤伊那男 自選15句-1




自選15句-1
更新で5秒後、再度スライドします

5句
みすずかる信濃は大きな蛍籠
魔法瓶あるだけ並べ天茶寺
菊枕には重すぎる頭かな
露の世とつぶやてみて露の中
股引をもう見られてもよき齢


自選15 句
3019/4/1   更新




句集 「然々と」 伊藤伊那男 自選15句-2




自選15句-2
更新で5秒後、再度スライドします

5句
マッチ一本迎火として妻に擦る
動かせば火鉢に爺がついてくる
ボーナスを自分に出してみて淋し
白鳥の白炎として降り立てり
蝮酒二日ほどして少し効く


自選15 句
3019/4/10   更新





句集 「然々と」 伊藤伊那男 自選15句-3



自選15句-3
更新で5秒後、再度スライドします。
5句

湯たんぽの慈母のごときを足蹴にす
春火鉢あればあったで手をかざす
山笑ふ若草山もそれなりに
京の路地一つ魔界へ夕薄暑
大仏の頭が見えて冬ぬくし


自選15 句

3019/4/20   更新








句集 「然々と」 伊藤伊那男 十句選 -武田禪次


更新で5秒後、再度スライドします。

十句選 武田禪次

鱈割いて貧婪の腹さらけ出す
露の世とつぶやいてみて露の中
火に脂そそぎ秋刀魚の焼きあがる
人麻呂に空くる上座や今日の月
白鳥の白炎として降り立てり
鶴翼のやがて魚鱗に山焼く火
山女釣る山を大きく傾けて
若水の映す一歳もなき山河
風鈴を妻の吊るしし位置に吊る
焚き上げて枯菊の香を全うす

3019/4/25   更新






句集 「然々と」 伊藤伊那男 十句選 三代川次郎

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十句選 三代川次郎

寒林に入り散策は思索へと
福寿草てふ睦まじき混み具合
山晴れへ挿す八朔の幟旗
たんぽぽの絮吹き絮に囲まれるる
鯉跳ねて十六夜の月崩しけり
山開馬が舐めたる清め塩
音階を一つ上げたる虎落笛
冬凪に潜水艦の甲羅干し
血管の膨らみきって競馬
阿弖流為を内より照らし大ねぶた

3019/5/1   更新





2019/5/4    更新

句集・然々と 伊藤伊那男 十句選 杉阪大和

更新で5秒後、再度スライドします。

十句選 杉阪大和

寒林に入り散策は思索へと
鶴引きて祭のあとのやうな村
落葉焚く色を夕日に繫ぎけり
たんぽぽの絮吹き絮に囲まるる
あぢさゐの色のはじめを雨が描く
鮎簗へ大きくしなふ渡し板
おほかたの影は縞目に夏座敷
驚きのかたちにうねる稲雀
山々は彫りを深めて洗鯉
富士塚の裾野に拡げ苗木売

3019/5/8   更新






句集・然々と  伊藤伊那男 十句選 松川洋酔

更新で5秒後、再度スライドします。

更新すると5秒後に再度スライドします。全10枚「然々と」十句選集・松川洋酔  2019/5/15更新
十句選  松川洋酔

平穏は余白にありて暦果つ
職歴は五指ほど勤労感謝の日
聖菓切る五人家族はやつかいな
蝮酒二日ほどして少し効く
ボーナスを自分に出してみて淋し
紙懐炉ずれてふぐりを温むる
動かせば火鉢に爺がついてくる
股引をもう見られもよき歳
亀鳴くと師が言えば皆諾へり

2019/5/15   更新





句集・然々と  伊藤伊那男 十句選 武田花果

更新で5秒後、再度スライドします。

更新すると5秒後に再度スライドします。全10枚「然々と」十句選集・武田花果  2019/5/23更新 new
十句選  武田花果

福寿草てふ睦まじき混み具合
生家売るは棄教のごとし鳥に
いつも買ふいつもの豆腐小鳥来る
黄泉の国より噴き出せる桜かな
兄吹けば草笛にある国訛
蒔いてみん妻の残しし花の種
鹿鳴くや恋はかくかくしかじかと
焚き上げて枯菊の香を全うす
隠れん坊のやうに人逝く年の暮
柏手の一打たがへし年の果

2019/5/23    更新