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1月号 2012年
伊藤伊那男作品 銀漢今月の目次 銀漢の俳句 盤水俳句・今月の一句 彗星集作品抄 平成23年優秀作品集銀河集・作品抄 綺羅星集・作品抄 銀河集・綺羅星今月の秀句 星雲集・作品抄 星雲集・今月の秀句 銀漢俳句会2012年予定 |
伊藤伊那男作品 初芝居 伊藤伊那男
有難く泣かせてもらふ初芝居 しみじみと華甲の顔ぞ初鏡 松過ぎの結び目固き靴の紐 掌中の珠と転がし冬苺 冬霞この山もまた歌枕 寒禽のひとつは八咫の烏かと 歳晩の茶粥に舌を焦がす旅 分け合うて朮火の地を照らしけり 今月の目次銀漢俳句会・1月号 銀漢の俳句伊藤伊那男
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新年明けましてお目出度うございます。 「銀漢」を創刊して丁度一年が経過しました。創刊時は130人の同人会員でスタートしましたが、この一年間運営の結果、出句を前提とする同人会員が230名(12月号出句者は170名)、別に購読会員として支えて下さっている方が93名と増加して参りました。嬉しいことです。 当初、月刊誌として出発すること、発行所を賃貸することなど悩む点が多くありましたが、発起人メンバーの強い後押しをいただいて踏み切り、幸い良い結果を得ることができました。 俳句は自分一人で作れるものではありません。良い仲間と良い発表の場が必要です。絶えず刺激を受ける句会、結社誌があってこそ、切磋琢磨の気持ちが高まるものです。そうした意味で各自が「火事場の馬鹿力」を発揮できる結社の礎を築いた一年であったと思います。 「銀漢」誌の特長の一つは全員参加型の結社誌であることです。彗星集は同人会員の区別なく、誰でも参加でき、競い合う場所です。また十句選欄は複数の同人が交替で選句します。良い句を作れば句歴も年齢も関係なく、誰にでもスポットライトが当たる仕組みです。良い句を見逃さず、多角的な視点で顕彰し合う精神を大事にしています。 また「銀漢」の特徴の一つに故村田脩先生の「萩」誌終刊に当り、50名近い方に参加していただいていることです。鍛練会、座談会などを通じて交流が進み、融和が計られつつあります。お互いに刺激し合い、句の幅も広がり、これが活力源の一つになっているようです。 句会の数は現在18。各々特色のある内容で、句会同士の交流も始まっているようです。発行所でも10名程度の句会が開けるように机と椅子を用意してあり、現在超結社を含む七つの句会が利用しています。 また、吟行会、鍛練会など適時、様々な企画を用意しており、各自の都合に合わせて遠慮なく参加していただけるようになっております。 このようにまづは順調に、中味の濃い一年を過ごすことができたのは、各担当部門の熱意と緊密な連携、また会員の皆様の協力のお陰と感謝しております。しかしこれで満足するわけにはいきません。今年も「俳句をやっていてよかった!」と言える結社作りに励みむ覚悟です。皆様のご助力をお願い致します |
正月の稼ぎ時、獅子舞が次の家へと急ぎ、最短路を取る。「すたすた」という俗語が効果的である。俳句用語としては違和感のある「最短路」という音読表現を使ったのは先生の句としては珍しい。当時盛んであった社会性俳句の表現方法などの影響があったのかもしれない。音読の句ではもう一つ〈月山に速力のある雲の峰〉の「速力」があるが……。句からは正月行事の舞台裏のおかしさが伝わってくる。同時に一抹の寂寥感も伴う。 (昭和36年作『積荷』所収) 伊藤伊那男 |
鹿島香取は天児屋根命を祀り、中臣(藤原氏)の崇敬を受けた。鎌足の出自の説もある。芭蕉に『鹿島紀行』もあり、俳人にも縁が深い。山口青邨に「香取より鹿島はさびし木の実落つ」があり、掲出句はこの句を踏まえてのことと思う。一種の本歌取りともいえる作句方法でこれもまたよし。鹿島神宮の森は深い。木の実も沢山降ることだろう。 |
農家の多かった地方では何といっても祭は「秋」。収穫の喜びと一年の仕事を終えた安堵からか熱気が違うのだ。この句は都市生活者が、ふと思い立って、取るものも取り敢えず、ふるさとへいそいだのであろう。その逸る気持ちが「切符一枚」に出ているようだ。感情の通りに作るなら「逸る気持ちや秋祭」なのだが、作句はその気持を「物」に託すことが勘所である。形容詞も動詞もなくても伝達可能。 |
ああ、そうだそうだ、と手を打った。例えば山形の山寺など、参道の店先に貸出用の杖が沢山並んでいる。その横に自然薯が。遠目には同じように見えたりするのであろう。風土色もあり、そこはかとないユーモアが漂う。 |
豊の秋、巡査は自転車で担当地域を巡回しているのであろう。事件や事故などはめったに起きない雰囲気だ。おまわりさんも親しく村人と話し込んだりしているのであろう。交番は空っぽ、時折威し銃が届く。交番といえば拳銃が連想されるのだが、誰もいない交番にも聞こえる鳥威し。読後にうっちゃりを喰らったようなほのかなおかしみも残るようだ。日本の懐しい風景。 |
漢字の「爽」には、①さっぱりして気持ちのよいさま。②あきらか。暗やみがさっぱりと割切れて除かれたさま。とある。両方共秋の大気の特色にふさわしいので季語となったようだ。「秋爽」「爽涼」などとも使う。この句、髪に櫛を入れると、その細かな櫛目ごとに爽やかさが頭皮にしみ込むという、非常に細かな感触を詠んでいるのである。鋭敏な感覚の句といえよう。季語の本意を摑んだ。 |
一読、おかしい句だ。放屁虫とは何ともなさけない名前を付けられてしまったものだ。危難に会うと臭気を発して敵を撃退するのだ。その臭気を発する時に、「静止」するのかどうか?疑問として残るのだが、こう言われると諾うしかあるまい。何だか人間界の寓意も感じられてくるようだ。 |
郷里の縁側から稲刈が見えるのだ。匂いまで伝わる。 |
一幅の絵のようだ。澄み切った空気。「散らし」がいい。 |
秋の深まりが「透きゆく」の表現で具体的になった。 |
井月の「落葉の座を定めるや窪溜り」の本香取り。可。 |
村歌舞伎であるところがよい。泣かせてもらうのだ。 |
話し言葉がそのまま句になったか。「励まねば」がいい。 |
俳諧味のある錬磨された句。「飽き」が決め手。 |
ほまちは「へそくり」のこと。小さな隠し畑が具体的。 |
升は子規のこと。石榴に痛々しさを感じたか。手練! |
あるある、こういう事。困惑の様子がおかしい。 |
太鼓の音が「夜を刻む」——出色の表現である。 |
伊勢に立つ鷹柱。赤福餅を食べる篦に漂うユーモア。 |
菅浦から見た竹生島の裏側か。「秋思」の見立てに納得。 |
(追)この菅浦の国民宿舎に鮒鮓作りの名人がいて、絶品!しかも安い。六人で大物を二本食べてしまった思い出がある。 |
2月号 |
丹田というのは下腹部の臍の下にあたるところ。ここに力をいれると健康と勇気を得るという。この句では山裾、二、三合目あたりということになろうか、澄み切った水の秋であるという。丹田という擬人化した見立ては出色である。天城山は伊豆半島の背骨を構成している。花が豊富で水が豊かな山で、その固有名詞で決まった。作者は伊豆在住。かつて一緒に天城山(万二郎岳•万三郎岳)に登った。 |
平家の栄華と没落を主題とした叙事文学。清盛の隆盛から始まり壇ノ浦での滅亡までが流麗な文章で綴られている。作者はこの長編を読み進むのだが、夜長をもってしてもまだまだ半ば。そこを「あはれまだ半ば」という。物語が半ばなのだが、散りばめられた哀話が半ばだと詠み替えたところが勘所である。平家物語だけに尚更の味わい。 |
長芋は地中深く育つので特殊な鍬で掘り下げて収穫する。一メートルに達するものもあるので、掘り手も土の中である。そこを「一日を土の中」と捉えて長芋掘りの本意に迫っている。読む側に土の匂いまで感じられてくるではないか。余談だが山芋掘りに誘われたことがある。これは山野に自生しているので周囲は縦横に木の根が絡んでおり、これを切断しつつ掘る重労働。三十分で試合放棄となった。 |
「ひぐらしの里俳句大会」で私が特選に取った句。日暮里本行寺は別名一茶寺。体育の日に運動ではなく俳句の会に来て遊んだという俳諧味。「遊ぶ」の措辞も[我と来てあそべや親のない雀」からきたのであろう。当意即妙。極上の挨拶句となった。 |
奇跡的な長寿社会となり、百歳の老人もそれほど珍しくない時代となった。が、そこまで生き抜いたのは偉業である。金盃などの記念品を抱えて市長が長老を顕彰に訪ねる。その訪問の場面をうまく切り取った。「市長以下」の把握が実にいい。同時出句の「横柄な糸瓜育ててしまひけり」も滑稽感を絡めて上質な笑いを誘う。 |
金毘羅宮から讃岐平野を見ると、讃岐富士をはじめとしていくつもの丸い山が見える。どれもこれもなだらかで、ふくよかな山なのである。そういう背景があるので、この句が生きるのである。蝗の飛躍の弧に讃岐の山の弧が重なる。遠近法を用いて小さな蝗の弧の方を大きく見せたところがうまいのである。 |
我々の世代には、秋刀魚というと、路地裏の七輪から上る煙と匂いが連想される。白黒フィルムの映画でも度々目にした懐しい風景である。私は信州だったので、生の秋刀魚はほとんどなくて、一塩ものを一人半身づつ食べたものだ。頭を取るか、尾の方を取るか悩んだな。この句はそんな時代を思い出させてくれた。「映画のやうな夕餉」の表現が見事である。ああ、折り畳みのできる丸い卓袱台––––。 |
芙蓉は朝開いて一日で萎む、たった一日だけの花である。雨催いの朝であったのか、芙蓉が開いたもののそのあとはずっと雨。雨のまま夕方花が萎む。この芙蓉は「雨しか知らず」閉じたのである。その雨の一日に着目したところが独自の視点。「雨の日は雨しか知らず」––––調べもよい。 |
鶏頭の名は鶏の鶏冠(とさか)に似ているところからついたという。それだけに何となく動物的な花である。その形状はさまざまに詠まれている。掲出句は影を持ってきたところがおもしろく、しかもその「影にも厚味」があるという。影に厚味?うまいなあ。確かに影は濃いかもしれないが、「厚味」とは今まで誰も言えなかったように思う。 |
私にも同じような経験がある。もう暗記する位目にしているのに、またまた読めという。またこれか・・と思いながらも膝の上に乗ったあどけない顔を見ると読むほかはない。夜長のことである。果てしなく続くのである。「読まさるる」の困惑の表現には苦笑してしまうが、同時に父親 の愛情も滲む。〈すりむきし膝そのままに秋の暮〉も子供の姿なのであろう。父親の詠む子育て俳句。 |
豊の秋である。馬肥ゆる秋というが、鯉も丸太のように太っているという。その鯉が跳ねるというのであるから何とも躍動感のある情景である。私の育った信州伊那谷ではことの外鯉を珍重した。秋祭には鯉を筒切りにして、うま煮に、また味噌汁(鯉こく)にしたものだ。はちきれんば かりに内臓もむっちりと膨らむのだ。 |
笑み栗は毬が自然に割れて実を覗かせたもの。笑っているように見える。豊かな秋である。これを見た作者も豊かな気持になったのであろう。「良きことあるやうな」の表現にあたたかさと、生きる喜びが感じられる。 |
高山祭である。「高山祭」というと春祭を指すので「飛驒の秋祭」と表現したのであろう。絢爛豪華な山車に、飛驒の匠の精巧な技のからくり人形などが並ぶ。そのからくりが宙を舞う。飛驒の山々が大きく展けるような大景を切り取っており臨場感に溢れている。一読爽快である。 |
11月号に〈裸子を錦江湾に放ちをり〉があり秀逸に取り上げた。この句も一連のシリーズということになろうか。また違う角度から裸子を詠んで出色である。裸子の中の吾子。誰もが感じていたけれど詠めなかったところだ。 |
運動会の属目。紅白の玉がひっきりなしに宙を舞う。終って玉を数える。どちらかの籠が空になって、残った籠だけの勘定が続き、最後の玉が思い切り空高く投げられて、歓声が湧く。「秋の空高く」の措辞が何とも爽やかである。 |
句の構造としては、「愚痴一つ」が「遺影」にかかり、「一つ庭の柿」も遡って「遺影」にかかる。愚痴を聞いてもらいたくて庭の柿を供えたのである。何となく深刻な愚痴ではなさそうなところがよい。一のリフレインが効いた。 |
鶏頭のあの独特の赤い色を出すために赤系統のクレヨンを何色も重ねて描いたという。あるいは鶏頭の花はクレヨンを何色も重ねたようだ、という比喩の句として捉えてもよいかもしれない。「赤重ね」がうまいところだ。 |
沖縄では糸瓜を食べるが、本土ではさて、垢すりや化粧水にするが、一般家庭では鑑賞用。様々な形を成す糸瓜の一つの曲り方を見て「言い訳」をしているようだ、と見て、独自の表現を得た。「やや」の措辞がまたいい。 |
声という目に見えないものを「かたまり」と捉えたところが手柄だ。競技の結果ごとに、赤組か白組かの歓声が一斉に上る。「ワー」という声が校庭を一巡りして遠ざかる。しばらくして次の歓声のかたまりが・・。 |
石榴の実をよく観察した写生俳句である。動詞を入れないで対象物だけを詠み切った姿勢がよい。ふしくれだったげんこつのようだという比喩だが、普通は「如く」「やうな」「似たる」などを使うが、「加減」は珍しい。 |
2011年12月1日 事業部作成
1月7日(土) |
銀漢本部句会運営委員会 |
7月19日(木) |
銀漢本部句会 |
1月19日(木)
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銀漢句会 |
7月27日(金)から7月29日(日) |
こもろ日盛句会 |
1月21日(土)
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年次総会新年会 |
8月11日(土) |
銀漢本部句会運営委員会 |
2月11日(土) |
銀漢本部句会運営委員会 |
8月23日(木) |
銀漢句会 |
2月16日(木) |
銀漢句会 |
9月1日(土) 9月2日(日) |
一泊鍛練句会 |
3月3日(土)
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銀漢本部句会 運営委員会 |
9月8日(土) |
銀漢本部句会 運営委員会 |
3月15日(木) |
銀漢句会 |
9月20日(木) |
銀漢句会 |
3月24日(土) |
本部吟行 |
10月8日(月) |
本行寺月見句会 |
4月14日(土)
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銀漢本部句会 運営委員会 |
10月13日(土) |
銀漢本部句会 運営委員会 |
4月19日(木) |
銀漢句会 |
10月18日(木) |
銀漢句会 |
5月12日(土) |
銀漢本部句会 運営委員会 |
11月3日(土) |
銀漢本部句会 運営委員会 |
5月17日(木) |
銀漢句会 |
11月15日(木) |
銀漢句会
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6月9日(土) |
銀漢本部句会運営委員会 |
11月23日(金) |
本部吟行 |
6月16日(土) 6月17日(日) |
鵜飼一泊吟行 |
12月8日(土) |
銀漢本部句会 運営委員会 |
6月21日(木) |
銀漢句会
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12月20日(木) |
銀漢句会 |
7月7日(土) |
銀漢本部句会運営委員会 |
12月22日(土) |
横浜吟行 |
上記日程は変更になることがありますので、ご注意ください。
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