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 11月号  2014年

伊藤伊那男作品 銀漢今月の目次 銀漢の俳句 盤水俳句・今月の一句  彗星集作品抄  
  彗星集選評  銀河集・作品抄 綺羅星集・作品抄 銀河集・綺羅星今月の秀句 星雲集・作品抄    星雲集・今月の秀句  伊那男・俳句を読む 銀漢の絵はがき 掲示板 鳥の歳時記 
 銀漢日録 今月の写真


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伊藤伊那男作品

主宰の八句

帰燕        伊藤伊那男

土用干読まずじまひのサルトルも
過去帖が日の目を見たる土用干
砂あげて退屈さうな蟻地獄
そのかみの遊郭跡や鯊を釣る
阿弖流為(あてるい)を内より照らし大ねぶた
さつきまで帰燕の空でありにけり
刃の立たぬ固さ褒められ大南瓜
一閃のそれきり秋の蛍かな










        
             




今月の目次








銀漢俳句会/11月号








   




銀漢の俳句 

伊藤伊那男 

「銀漢」の俳句       伊藤伊那男

◎ 伊那谷に井月を訪ねて

 第23回 信州伊那井上井月俳句大会が、8月30日(土)に長野県伊那市で開催された29日(金)に前夜祭として、「井月と放浪の俳人たち」をテーマとしたシンポジウムがあった。「炎環」主宰石寒太、『子規は何を葬ったのか』の著者、今泉恂之介、維然研究家で岐阜県関市の弁慶庵元館長、沢木美子、『井月の日記』の著者、宮原達明の各氏がパネラーで私はコメンテーターという役割。『ほかいびと 伊那の井月』の映画監督北村皆雄氏が司会である。井月研究者で先般『井月編 俳諧三部集』の解説を担当した竹入弘元先生が客席におられ、指名されて何度か意見を述べられた。竹入先生は伊那北高校の私の恩師であり、思えば私達が高校生の頃、先生に仇名をつけて騒いでいた頃には既に井月についての調査に入っておられたようなので、その意見は含蓄の深いものであった。我々は井月の人生の空白の部分いついて勝手な想像をするのであるが、先生の目から見ると、そんなことはお見通しで、我々の議論は群盲象を撫でるのようにも感じられたかもしれない。翌日は俳句大会と表彰、石寒太氏の講演があった。
 日曜は高遠句会の加藤恵介君と大野田好記君の車で、井月ゆかりの地を案内していただいた。大野田君は井月についての資料を集めてくれており、今回はまず伊那市手良の清水庵へ向った。大野田君の小学校時代の友人が清水庵の関係者であることから、この無住寺の鍵を開けてくれたのである。そこには明治九年の俳句奉納額が掲げられている。井月の字でその地区の88名の俳句が書かれ、最後に井月句が他より大きく二行に分けて書かれ、印が捺されている。想像はしていたのだが、これは井月が宗匠で、ここには88名の弟子がいたことの証明であろう。こうした俳額は伊那谷にまだ十ほどあったことが伝わっており、相当な弟子を持った宗匠であったことを確信した。そのあと井月の肖像画を描いた橋爪玉斎のご子孫、橋爪剛健氏を訪ね、その肖像画の現物、また井月の書を間近に拝見することができた。年の頃50前後と思われる、黒羽二重と袴姿の井月は端然して短冊と筆を持って思索の趣きである。
 今回二つのゆかりの品を拝見したのだが、乞食姿の井月の面影はどこにも見当らないのである。今、井月の句の分析をしているのだが、江戸、京都あたりで詠んだと思われる食べ物の句などを見ると、とてもとても漂泊者が親しめるものではない。そこが不思議である。残された俳句の面から空白の人生を見通しているところである。これも群盲象を撫でるの類かもしれないが、俳人の性である。











       



 



  

盤水俳句・月の一句

伊藤伊那男

何もせず菊焚きゐたり桂郎忌     皆川盤水

鳥の啼かない日はあっても、新宿西口の「ぼるが」に石川桂郎のいない日はない……と言われていたらしい。盤水先生もそれに近い。先生は小田急沿線鶴川の桂郎居も訪ねて、親しんでいたようだ。桂郎の「風土」を継承した神蔵器氏がある会で冗談交りに「もしかしたら風土の後継ぎは盤水先生だったかもしれない」と言っていたことを思い出す。桂郎が亡くなって三回忌の頃の作。先生は中野の家の庭で枯菊を焚いて偲んだのであろう。
                              昭和52年作『板谷峠』所収) 


       

                  
 



  
 


彗星集作品抄

伊藤伊那男選

彗星集秀句順位 11月号 平成26年

白樺に影を大きくキャンプの灯     上田 裕
ポケットに藤村の詩と青胡桃      谷岡 健彦
国盗りの山河残して鮎錆びぬ      杉阪 大和
秘仏訪ふ南都の畦の草ひばり      谷口いづみ
跳箱をだんだん高く雲の峰       鈴木てる緒
一渓は平家の裔や幟立つ        松原八重子
夜店の灯遠目にも空焦げてをり     柴山つぐ子
よく緊りよく膨らみて青ふくべ     武井まゆみ
玫瑰の海を眼下にペリー像       新谷 房子
風鈴や間口の狭き絵草紙屋       大溝 妙子
種茄子の影を濃くせり夕茜       森濱 直之
星月夜横に裾張る阿蘇五岳       鈴木てる緒
微睡に風鈴の音とほくなり       曽谷 晴子
調律に暇取つてをり秋の蟬       武井まゆみ
身ごもりし母なき姪と鰻飯       多田 悦子
行水の盥の底の星の砂         大西 酔馬
草じらみ取り合ひ知らぬもの同士    伊藤 庄平
極はまりののけぞつてゐる大花火    柴山つぐ子
秋立つや湖国は山を据ゑ直し      小野寺清人
地方紙の記者の腕章草相撲       谷口いづみ


         
    



              


          









彗星集 選評 伊藤伊那男


白樺に影を大きくキャンプの灯     上田 裕
 白樺といえばきっと信州のキャンプ場であろう。新州育ちの私には親しみ深いもので、お盆の迎火にもこの木の皮を剝いで焚いたものだ。テントの中灯かキャンプファイヤーか、白樺の樹林に大きな影を作り、また照らす。真白な幹であるからひと際戦列なのである。もし白樺の措辞がなかったらこれほど印象鮮明な句にはならなかった。

  
ポケットに藤村の詩と青胡桃      谷岡 健彦
これもきっと信州、千曲川のほとりであろう。若々しい感覚の句だ。渡しも若い頃藤村の詩集を好んで読んだ。「初恋」「千曲川旅情の歌」……。季語に「青胡桃」を配したことで、未熟で傷つき易く、感性の研ぎ澄まされていた時代の事を彷彿とさせるようである。動詞を使わないで「物」だけけを提示して、あたかもスポットライトを当てたような効果を出している。もっとも青胡桃の肌は粘着力があってポケットに入れるのには無理があるが、そこが「詩」である。 

  
国盗りの山河残して鮎錆びぬ      杉阪 大和
「盗」は「とる」とは読めないが、司馬遼太郎の小説「国盗り物語」で定着してしまった。ただしこの句の場合は「『国盗り物語』にある山河」を省略して詠みこんでいるので間違いではなく、こうせざる得ないのである。読者は一気に斎藤道三の世界に引きずり込まれる効果をもつ。美濃の晩秋の風景である。 

  
秘仏訪ふ南都の畦の草ひばり      谷口いづみ
南都は奈良のこと。南都の畦と言ったのがうまいところで、市中を少し外れただけで田園風景が広がるこの地方の特徴を一言で捉えているのである。畦伝いに訪ねる古寺。朝鈴とも呼ばれる草雲雀が鳴く、朝も早い時間である。

  
跳箱をだんだん高く雲の峰       鈴木てる緒
とび箱と雲の嶺の取り合わせの句は外にもあるかと思う。ただ「だんだん高く」の中七が出色である。跳箱であるからだんだん高く積み上げていくのだが、その「だんだん」が跳箱だけではなく「雲の峰」にも懸るような感じになるし、跳箱も雲の嶺に近づいていくような壮大な感覚をもたらす。 

  
一渓は平家の裔や幟立つ        松原八重子
「いっけい」と音読みするのがよかろう。なにやら極めて狭い谷間の集落を想像させる。全部が平家の末裔。ここにも端午の節句の幟がはためく。「ただ春の夢の如し」という平家の栄華をちらりと垣間見るのである。 

  
夜店の灯遠目にも空焦げてをり     柴山つぐ子
村祭の夜を思い出す。烏賊、焼そばの匂いも煙も。 

  
よく緊りよく膨らみて青ふくべ     武井まゆみ
乾燥させて瓢簞を作るためか。細かい観察がおかしい。 

  
玫瑰の海を眼下にペリー像       新谷 房子  
 すっかり日本人を恫喝したペリー。黒船の海を見ている。
 
  
風鈴や間口の狭き絵草紙屋       大溝 妙子
「間口の狭き」で場景が明瞭。風鈴が良く響きそう。 

  
種茄子の影を濃くせり夕茜       森濱 直之
何でもない畑の風景を美しく仕立てたのは義倆の高さ。 

  
星月夜横に裾張る阿蘇五岳       鈴木てる緒  
 「横に裾張る」で壮大さがわかる。星月夜で大景を捉えた。

   
微睡に風鈴の音とほくなり       曽谷 晴子
瞬時のまどろみをスローモーションで捉えた。 

  
調律に隙取つてをり秋の蟬       武井まゆみ
もたもたした秋の蟬。見たての表現の効果。 

  
身ごもりし母なき姪と鰻飯       多田 悦子
一行の俳句が短編小説のような余韻を醸し出す。 

  
行水の盥の底の星の砂         大西 酔馬
避暑地の夕方の行水か。海水浴の名残の星の砂。

  
草じらみ取り合ひ知らぬもの同士    伊藤 庄平
ハイキングなどで目にする。「知らぬもの同士」がいい。 

  
極まりののけぞつてゐる大花火    柴山つぐ子
全員がのけぞってみる最後の大玉。「極まりの」がうまい。 

  
秋立つや湖国は山を据ゑ直し      小野寺清人
琵琶湖?諏訪湖?「山を据ゑ直し」の表現は秀逸。 

  
地方紙の記者の腕章草相撲       谷口いづみ
草相撲の記事も地方紙の役割。「腕章」が目利き。

  
 



       
 
                                 
        







銀河集作品抄

伊藤伊那男選

啞蟬に声ならぬ声ありぬべし     東京   飯田眞理子
夏暁の風に総身を預けをり      静岡   池田 華風
羽衣の松の高みを夏の蝶       静岡   唐沢 静男
灯し置く遺影の笑みや涼あらた    群馬   柴山つぐ子
噴水に裏つくりたる夕日かな     東京   杉阪 大和
魂棚組む心許なき高さかな      東京   武田 花果
一斉に湯気立つ北京夕立晴      東京   武田 禪次
坂がかる水の馬籠の冷し瓜      愛知   萩原 空木
露の夜の白湯にも味の齢かな     東京   久重 凜子
宵山へ祇園の昼が動き出す      東京   松川 洋酔
仲見世に四万六千日の雨       東京   三代川次郎
新盆の昔の部下を遠に訪ふ      埼玉   屋内 松山

            
       





       

               








綺羅星集作品抄

伊藤伊那男選 

姿見に見送られゆく夏祭       東京  相田 惠子
夕立に街の重心傾ぎけり       東京  有澤 志峯
草市の種種にくる日照り雨      静岡  五十嵐京子
小波立つ号砲前のプールの面     東京  伊藤 政三
暑に耐ふる師に棄てられし句にも耐ふ 神奈川 大野 里詩
一人加はりしばかりの墓洗ふ     埼玉  小野寺清人
打水の風くるぶしを抜けにけり    神奈川 鏡山千恵子
夕刊に折り込まれくる大暑かな    千葉  佐々木節子
幼の歯生え変はるらし草田男忌    東京  島 織布
秋旱お七の墓へ水たんと       東京  白濱 武子
抜けられぬ缶けりの鬼終戦忌     東京  新谷 房子
六道の辻へと続く片かげり      大阪  末永理恵子
片陰の続く限りの古書街を      東京  武井まゆみ
遅れたる部下に縁談鯊日和      茨城  中村 湖童
すでにもう祇園囃子の中にゐる    東京  松代 展枝

竪琴の弦のごとくに流れ星      東京  飯田 子貢
瀬しぶきに宿下駄濡るる夕河鹿    埼玉  伊藤 庄平
藪甘草忘れられない猫の墓      埼玉  梅沢 フミ
九条の会の案内生身魂        東京  大溝 妙子
炎天に交せし一語励みとす      東京  大山かげもと
零戦を知る人わづか終戦日      東京  小川 夏葉
学徒兵発ちし日今も夾竹桃      鹿児島 尾崎 尚子
捨てかぬる訳あり小さき香水瓶    東京  影山 風子
内内の話になりて寄る日傘      和歌山 笠原 祐子
含羞草だれもが弱い噓をつく     愛媛  片山 一行
切能は鬼女がつとめる良夜かな    東京  桂 信子
朝顔の色滲み出す朝の雨       長野  加藤 恵介
夢二描く柳眉涼しく絵草紙屋     東京  我部 敬子
大水母かきまぜ佐渡のたらひ舟    東京  川島秋葉男
黒水引の袋の吾の名盆支度      長野  北澤 一伯
風抜くるやうな翅持ち糸蜻蛉     東京  柊原 洋征
鱚捌く手押し車の板の上       東京  朽木 直
一湾を照らし切つたる大花火     東京  畔柳 海村
油絵の下絵がごとき羽抜鳥      神奈川 こしだまほ
天草の海の碧さや仏桑花       神奈川 權守 勝一
銀漢や橋の半ばで国分つ       長崎  坂口 晴子
蓮の咲く音はまぼろし待ちぼうけ   山口  笹園 春雀
蓮の咲く音はまぼろし待ちぼうけ   長野  三溝 恵子
厨より桃の匂ひの風来たり      東京  島谷 高水
日の暮れは背戸にはじまり秋の蟬   静岡  杉本アツ子
冷し瓜生家に今も外流し       東京  鈴木てる緒
鳳仙花はぜて生家の思ひ出も     東京  瀬戸 紀恵
境内の先づ片蔭を掃き始む      愛媛  高橋アケミ
教会の祈りの外の蟬時雨       東京  高橋 透水
絵団扇に切絵の花や向島       東京  多田 悦子
蓮の葉の揺らぎては日を照り返す   埼玉  多田 美記
七夕や紙縒づくりに乾く指      東京  田中 敬子
岩木嶺を裾の先まで袋掛       東京  谷岡 健彦
脩師の遺句集を読む夜の秋      東京  谷川佐和子
胸元にワインの飛沫パリ―祭     神奈川 谷口いづみ
トリスバーの看板古ぶ晩夏かな    東京  塚本 一夫
雨女らし長めなる梅雨の傘      東京  坪井 研治
香水や母に贔屓の役者あり      神奈川 中川冬紫子
中華街蒸し上がりたる夕立かな    大阪  中島 凌雲
掃苔や改めて見る家の紋       東京  中野 智子
端居して猫の親子に慕はるる     東京  中村 孝哲
鬼灯に照らされてゐる遺影かな    愛知  中村 紘子
手に踊る社名のタオル祭の夜     福岡  藤井 綋一
痛かりし母のバリカン終戦日     東京  保谷 政孝
跳び箱を一段上げて雲の峰      東京  堀内 清瀬
月山の光をギュッとさくらんぼ    岐阜  堀江 美州
打水のあと足音の変はりけり     パリ  堀切 克洋
夜濯や宵越しの憂さ持たぬ性     埼玉  夲庄 康代  
熾きさかる開炉の炭の大きかり    東京  松浦 宗克
立ち泳ぎ水平線を摑へる       長野  松崎 正
芙蓉咲く一途の刻のあさなさな    東京  宮内 孝子
癌転移しをらず巨人勝つナイター   千葉  無聞 齋
秋澄めり買うて吉野の陀羅尼助    東京  村上 文惠

忌日なれば思ひは遥か天の川     東京  村田 郁子
師の供花を持ちてつまづく日の盛り  東京  村田 重子
唐辛子広ぐ昨日の新聞に       埼玉  森濱 直之
邯鄲の夢より醒めて帰省かな     愛知  山口 輝久
野馬追の武者の矜恃の紋所      群馬  山田 礁
火山灰降るや花托うつぶけ車百合   群馬  山田 鯉公
香水の一滴鎧ふやうにかな      東京  山元 正規
でで虫や木歩の句碑の侘しらに    千葉  吉沢美佐枝
一遍のをどり念仏星月夜       神奈川 吉田千絵子
子も孫も母の仕草で墓参       愛媛  脇  行雲
夕端居をりをりに聞く風の詩     東京  渡辺 花穂






       

   








銀河集・綺羅星今月の秀句

  伊藤伊那男

姿見に見送られゆく夏祭        相田 惠子
粋な一景である。髪をきりりと結い上げて祭衣装で身を包み、さて出陣という雰囲気である。念押しに姿見に全身を映して「完璧!」と頷く。そんな祭好きの女性の意気込みがよく出ている。句の構図が見事。


夕立に街の重心傾ぎけり        有澤 志峯
やや斜めに来た夕立であろうか。浮世絵にあるように雨脚の一筋一筋が見えるような様子をうまく摑んだ句だ。「重心が傾ぐ」の把握は的確。言い切ったところもいい。 


草市の種種にくる日照雨        五十嵐京子
前出句が大向うを唸らすタイプとすると、こちらは地味ながらしみじみと心にしみる句である。草市は盆の行事に用いる品々を売る市のこと。蓮の葉、真菰筵、鬼灯、
――こまごまと、いずれも軽いものばかり。それをひとくくりに「種種(くさぐさ)」と捉えたところが手柄。覆いをかける間もなく過ぎる日照り雨。種々の音が聞こえてくるようだ。


小波立つ号砲前のプールの面      伊藤 政三
 思い出すのは、〈ピストルがプールの硬き面にひびき 山口誓子〉。誓子の句はピストルを鳴らした直後。掲出句はその直前。「プールの面」という言葉を使って本歌取りを鮮やかに仕上げた。「小波立つ」に緊張感が出ている。


暑に耐ふる師に棄てられし句にも耐ふ  大野 里詩
何とも楽しい句で噴きだしてしまった。これは先生を唸らせる句だなと、勇んで出句したのに見向もされない。だれもが経験している痛恨。これに耐えて前進しなければならないのだ。「耐ふ」に暑と句作という異なるものを通底させた技倆である。同時出句の〈百の風千にふくらむ青田波〉も「百」「千」の畳みかけで膨らみを出した。 


夕刊に折り込まれたる大暑かな     佐々木節子
まだ明るいうちに届く夕刊なので、たっぷりと午後の暑さを運んでくる。まるで広告のちらしのように「大暑」を「折り込」んでくるという把握は凄い!というしかない。 


幼の歯生えかはるらし草田男忌     島 織布
〈万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男〉の本歌取りである。この句によって「万緑」が季語として定着した記念碑的な句ということになる。その句を恐れもなく取り込み、パロデイ―に終わらせていないところが憎い。こんな草田男忌の句は初見である。 


秋旱お七の墓へ水たんと        白濱 武子
 
八百屋お七は幼い一途の恋から大火を引き起す。その墓はたしか本郷の方にあり、一度行ったことがある。折しも秋旱の頃訪ねた作者は、まづは水を手向ける。「水たんと」の口語調にお七への語りかけがある。身を焦す恋、劫火の巷------と連想が膨らむのである。 


六道の辻へと続く片かげり       末永理恵子
「六道の辻」という一般的な使い方もあるが、この句の場合は京都珍皇寺あたりの町屋の風景であろう。この寺の辺りが、黄泉への入口と言われており、小野篁はここから魔界との間を往来したという。お盆の前に「迎へ鐘」に集まる場所である。片かげりの措辞にこの界隈の様子が如実で魔界へ続く、舞台でいえば「花道」の趣である。 


遅れたる部下に縁談鯊日和       中村 湖堂
まさかまさか、こんな取合せがあろうか!と意表を突かれた句である。何だかこの部下がダボ鯊に通じるようにも思えてきて笑ってしまう。あの魚のようにキョトンとした目で縁談を聞いているのであろうか。何ともおかしい。 


すでにもう祇園囃子の中にゐる     松代 展枝
 最近は京都の街も地下鉄が便利。四条烏丸駅を上ったら、このような祭囃子の中。「すでにもう」の打出しに、突然の場面展開と旅人の戸惑いがよく出ている。


露の夜の白湯にも味の齢かな      久重 凜子
小林一茶に〈露の世は露の世ながらさりながら〉がある。老年にできた子供に死な
れたときの句である。「露の世」というと季語性は薄らぐ感じがある。こちらは「露の夜」。白湯にも味を感じる、というところに年輪の厚味ということを思う。 

その他印象深かった句を次に

 

宵山へ祇園の昼が動き出す       松川 洋酔
一人加はりしばかりの墓洗ふ      小野寺清人
打水の風くるぶしを抜けにけり     鏡山千恵子
抜けられぬ缶けりの鬼終戦日      新谷 房子
片陰の続く限りの古書街を       武井まゆみ




       


    
    


           
 
 



 



星雲集作品抄

伊藤伊那男・選

門火果て夕の風のいろ変はる     東京   小林 雅子
今日も又つつが無く過ぎ夕端居    愛知   松下美代子
稲妻に母の迷信鏡被ふ        東京   中村 貞代
近すぎて言へぬことあり秋扇     神奈川  曽谷 晴子
萎え初むる時の色めき酔芙蓉     東京   山下 美佐
行水の残り湯にある昭和かな     東京   森 羽久衣
閑談の間合ひ釣り上ぐ小鯊かな    神奈川  久坂衣里子
踊子の指の先までをどりたる     東京   豊田 知子
下駄飛ばす天気予報や道をしへ    埼玉   戸矢 一斗
またひとつ日傘加はる立ち話     神奈川  多丸 朝子
のうぜんの咲き散る軒へ回覧板    福島   髙橋 双葉
羽搏きは八咫烏らし霧の奥      静岡   澤入 夏帆
草笛や一音ずれし子守唄       埼玉   大野田好記
どつかりとまた炎帝の長つ尻     東京   大西 酔馬
端居してお隣りと云ふ縁かな     宮城   有賀 稲香
散る花は風に掃かせて百日紅     神奈川  有賀 理
放水の先づは湯が出て土用入     神奈川  伊東 岬
すれ違ふ時片陰をはみ出しぬ     東京   今井 麦
寺社めぐるその先々の竜田姫     千葉   植竹 節子
向日葵は管楽器なりとどろけり    京都   小沢 銈三
土用波砕けて覗く富士の峰      静岡   小野 無道
厳しさを見せぬ人なり芙蓉咲く    東京   梶山かおり
高原に昼寝だけして帰りけり     東京   桂 説子
露草となりたる母を絵手紙に     長野   唐沢 冬朱
何時観ても熱砂匂はすカンナかな   神奈川  阪井 忠太
ファインダーへよき顔あまた敬老日  東京   島谷 操
一生を花火に詰めて開きたし     埼玉   萩原 陽里

宵山の熱気吹き抜け祇園町      東京   秋田 正美
舟端を波ひたひたと鯊日和      神奈川  秋元 孝之
句も人も涼しかりしよ脩の忌     東京   浅見 雅江
たらちねや切子灯籠吊りて待つ    愛媛   安藤 政隆
大空をキャンバスにして夕焼雲    東京   飯田 康酔
物言はぬ母の想ひや落し文      東京   井川 敏夫
朝顔や目ざめし嬰の目のなかに    埼玉   池田 桐人
路地裏に子ら行水の昼下り      東京   市毛 唯朗
向日葵の午后は西むく塀の中     群馬   伊藤 菅乃
鰐口に風打ち続く地蔵盆       東京   上田 裕
引く波に心委ねし夜の秋       神奈川  上村健太郎
水飲んで水を使ひて水打つて     埼玉   大木 邦絵
涸沢の雪渓またぐ星座かな      東京   大住 光汪
初物と厨に届く花茗荷        群馬   岡村妃呂子
散り急ぐ夏椿あり斜陽館       神奈川  小坂 誠子
蜩の忙しく鳴くや夕木立       神奈川  尾崎 幹
秋霖や龍門碑史を繙けば       静岡   金井 硯児
帰省子の名刺添へたる土産かな    神奈川  上條 雅代
手に採りて夕餉と決むる零余子かな  東京   亀田 正則
枕辺の夜の深さや窓の月       神奈川  河村 啓
嵐前かまきりの恋しづかなり     愛知   北浦 正弘
子ら去りて余韻の中の蟬しぐれ    東京   絹田 辰雄
これからも私はわたし立葵      和歌山  熊取美智子
クラス会へ原爆ドーム横に見て    愛媛   来嶋 清子
山百合と鬼百合が美を競ひ合ふ    群馬   黒岩 章
薬缶もて子等従へて墓参り      群馬   黒岩 清女
夕端居森の騒ぎも心地よし      愛知   黒岩 宏行
蜩にもう時はなしと急かさるる    群馬   小林 尊子
四五百の風鈴さぐる本門寺      東京   斉藤 君子
風鈴や夜明の音色残しをり      東京   佐々木終吉
夏浅間雲の衣に寝観音        群馬   佐藤 栄子
夕暮れの早さと競ひ茄子をもぐ    群馬   佐藤かずえ
辿り着く重き荷を背に登山宿     群馬   佐藤さゆり
風入れや花鳥輝く帯の川       兵庫   清水佳壽美
赤のまま紅いほつぺの昭和の子    埼玉   志村 昌也
銀漢や遠流の島の鬼太鼓       東京   須﨑 武雄
口を出し手をも出したる盆用意    東京   鈴木 淳子
取りとめもなく夢流る熱帯夜     群馬   鈴木踏青子
庭草のややに乱れて梅雨明くる    東京   角 佐穂子
章魚洗ふ磯の香強き厨かな      愛知   住山 春人
とろろ薯まづ擂りてより明日のこと ニューヨーク 武田 真理子
野菊咲く母校はとうに廃校に     広島   竹本 治美
端居して風の行方に身を任す     三重   竹本 吉弘
短冊に英語交じりて星祭    ヒューストン   田中 沙波子
朝顔の端然として風誘ふ       東京   田中 寿徳
伸び縮む提灯のやう海月かな     愛知   津田 卓
夜のほどろ手水の鉢に浮かぶ月    東京   手嶋 惠子
孫の手を高く引きたる茅の輪かな   千葉   土井 弘道
汐の香のゆるりとぬけて夏座敷    東京   徳永 和美
流木に座し銀漢を指呼のまに     東京   中西 恒雄
借り受けし書に香水の香の残る    埼玉   中村 宗男
萎れたる朝顔揺らす昼の風      神奈川  長濱 泰子
鵜のやうに吐かせて欲しき吾のこころ 長崎   永山 憂仔
夏萩のひとつあまさず日を受くる   東京   西原 舞
熊蟬の昔を語る中尊寺        東京   沼田 有希
片陰を拾ひて京の町屋かな      東京   萩野 清司
水遊び水もはしやぎのありにけり   東京   長谷川千何子
言訳をしつつ手抜の盆用意      神奈川  花上 佐都
足利学校曝書の嵩や広座敷      神奈川  原田さがみ
靑々の名付けし湯屋も土用中     兵庫   播广 義春
太陽の筆さばきめく向日葵よ     東京   福田 泉
炎天に潮の香淡き吾妻橋       東京   福永 新祇
ウクレレの入門喜寿のサングラス   東京   福原 紀子
島医院待つも又よし行々子      愛媛   藤田 孝俊
夕立晴電線走る滴かな        大阪   星野かづよ
吉見百穴晩夏際立つ光蘚       東京   牧野 睦子
絞り出す色も尽きたり冬紅葉     東京   松田 茂
喚鐘のくぐもる堂宇菜種梅雨     石川   松原 八重子
ひぐらしや帰り仕度の作業員     神奈川  松村 郁子
汗疹して白粉のらぬ役者かな     神奈川  宮本起代子
擦り切れし小さき束子や墓洗ふ    千葉   森崎 森平
迎火や裏戸も窓も開け放つ      長野   守屋 明
むさし野に昇る煙や落葉焚き     東京   家治 祥夫
菜園に蔓自在なる花南瓜       群馬   山﨑ちづ子
鏡台に母の遺文や月涼し       東京   結城 爽
黒き色持たねど雨の原爆忌      神奈川  和歌山要子
鯊日和てんてこ舞ひの船の宿     埼玉   渡邊 勲
紅芙蓉小さき幸せ日に一つ      東京   渡辺 文子










 

         







星雲集 今月の秀句


伊藤伊那男

門火果て夕の風のいろ変はる       小林 雅子
私の郷里伊那谷では、土を練って小さなかまどを家の前に作り、油脂の多い赤松の薪や、剝ぎ取った白樺の樹皮などを焚いて祖霊を迎えたものだ。句は早々と先祖を迎え入れると心なしか風の色も変ったように思えたという。そこに作者の微妙な心理の動きがあるようだ。同時出句の〈盆棚に開く過去帳いろ褪せて〉も代々先祖を大切にしてきた家のたたずまいが偲ばれる句であった。作者は私の郷里の隣村の出身。 


今日も又つつが無く過ぎ夕端居      松下美代子
若い時だったらこういう句に感銘を受けなかったかもしれない。いつも何かが起る暮しに馴れていたし、その方が生甲斐があると思っていたからであろう。恙虫は昔は相当幅をきかせていたのであろう。「恙無い」という言葉が残っているほどだから‥‥。今日も病いが無く、息災で無事な一日を過すことができたという安堵の端居。こういう句を見ると、俳句は年輪がものを言う文芸なのだと思う。 


稲妻に母の迷信鏡被ふ          中村 貞代
こういうこともあったのか?稲妻が走るときは鏡を見てはいけないと。そんな母の信心を自分も守っているという。でも言われてみたら姿見の自分の後ろに稲妻が走ったら夜叉のように見えるかもしれない。調べはごつごつしているが、類例の無いところを詠み止めた句として評価したい。同時出句の〈一つ目が咲いて朝顔定まれり〉、この大袈裟な表現にどことなくユーモアも感じられていい。こちらは一物仕立てで端正な調べ。 


 

萎え初むる時の色めき酔芙蓉      山下 美佐
言われてみれば、一日で萎むこの花は、その終末の一時が一番色濃く艶冶になるのかもしれない。そんな風に思うと一物仕立ての面白さで、そういう女性の一生のようなものまで想起されてくるようである。対象の「物」をよく観察した成果。 


閑談の間合ひ釣り上ぐ小鯊かな      久坂衣里子
「だぼ鯊」などという言葉もある。食用にならないほどの小さな鯊の蔑称である。それでも釣るということの楽しさなのであろう。気のおけない友人とのとりとめのない会話が主で、忘れた頃掛る小鯊。そんなのどかな一景を詠み止めて秀逸。同時出句の〈近江には民の御仏白芙蓉〉は、確か句会の時には「白芙蓉」が動くかなと思い、採るのを躊躇したような記憶があるが、改めて見ると、「赤心」というようなものが感じられて、いい。 


  

踊子の指の先までをどりたる       豊田 知子
似たような句はあるかと思うが、短い句歴でここまで辿り着いたことは褒めてよい。盆踊に熱中する気息が伝わってくる。同時出句の〈おしやべりが聞こえてきさう百日紅〉は何とも無邪気で瑞々しい句だ。百日紅とは確かにこんな咲き方である。百日続くおしゃべりである。 


  

草笛や一音ずれし子守唄         大野田好記
我々の子供の頃の子沢山の時代は、弟や妹の面倒を見るのが当り前。妹なり弟をあやすために一所懸命に草笛で子守唄を吹くのだが、どうも音程が違う。草笛の不確かな音階を捉えて出色である。その頃を思い出すと涙ぐましくもまた尊い情景である。 


 

ファインダーへよき顔あまた敬老日    島谷 操
敬老の日の一景。「よき顔あまた」の措辞が何ともいい。山あり谷ありの様々な人生を経て、今レンズの中に納まる笑顔は、どの顔もいい。シャッターを押す作者もまたいい顔をしているのだ。作者の心根のよさを思う。 


何時観ても熱砂匂はすカンナかな     阪井 忠太
「熱砂匂はす」とは発見である。カンナは中南米原産で、前世紀末にフランス・イタリアで改良されて普及したという。血は争えないもので、熱帯の気を発しているのだ。そのDNAを「熱砂匂はす」と看破したのは見事。 


  

高原に昼寝だけして帰りけり        桂 説子
高原の宿へ避暑に行ったものの、大部分は昼寝で過して終ったということのようだ。散策の時間が無かったことなどを悔んだのであろうが、いやいや一番贅沢な旅である。
               その他印象深かった句を次に
すれ違ふ時片陰をはみ出しぬ       今井 麦
向日葵は管楽器なりとどろけり      小沢 銈三
自転車を漕ぎ鯊の顔見に行かむ      梶山かおり
露草となりたる母を絵手紙に       唐沢 冬朱
一生を花火に詰めて開きたし       萩原 陽里
寺社めぐるその先々の竜田姫       植竹 節子
放水の先づは湯が出て土用入       伊東 岬
散る花は風に掃かせて百日紅       有賀 理






  

   




 




新連載 【伊那男俳句を読む】

 伊那男俳句を読む      伊藤伊那男
  


回想―句集『知命なほ』の時代(6)    伊藤伊那男

先生は「どうなるかは解らんが、土佐清水の私の病院へ来てみるかい?」と言い、思案の末、行ってみることになった。これが11月の中旬頃であったろうか。それにしても土佐清水は遠い。高知竜馬空港に降りてレンタカーで延々3時間ほど走り、四万十川を渡った更にその先である。入院したものの治療は漢方薬を飲んだり、薬草風呂に入ったりして静養することである。3週間ほどした頃、先生から電話がきて、「厳しい状況になってきている。年末の飛行機が混み合う前に東京へ戻り、ホスピスか自宅で家族で見守る方がいい」ということであった。この病院も自由診療で高額な入院費用であった。長女の婿のつてで南麻布の古川橋病院の一番広い個室を用意してもらい、長女と土佐清水へ向い、妻を連れ戻した。病院には痛み止めの治療以外は一切しないということで受けてもらったのである。ホスピス代りであり、私は店の仕事が終ったあと夜はほとんど泊り込んだ。年末年始は外出許可を得て、当時目黒にあった長女の家で、12月28日の55歳の誕生日を祝った。正月明けからはほとんど歩行困難となり、痛み止めの麻酔薬も効いて次第に昏睡状態になっていった。京都の母や、弟、伯母、従姉妹なども別れに来た。死ぬ2日ほど前であったか、八王子の妻の友人が世話に来てくれていたとき、「正徳はいるの?」と私の名を呼んだ。聞き取れる言葉を言ったのはそれが最後であったかもしれない。
1月18日は朝から曇天で昼前から雪が降り始めていた。昼過ぎから長女が来ていた。午後3時頃、妻はのけぞるように身をもたげて息を引き取った。いろいろな手続きを終えて夜、葬儀社の手配した車で杉並の家へ戻った。麻布からの道筋は明治通りを広尾に向ったが、その広尾一丁目は33年前、結婚して最初に住んだ所である。家の前を通るとき運転手さんに頼んで速度を緩めてもらった。街の風景は真白な雪の中であった。家に着くと作家の伊集院静さんから枕花が届いた。娘婿と親しいこともあるが、何年か前に妻もハワイで一緒にゴルフをした縁であった。
葬儀については句友のTさんを煩わせた。たまたま娘婿の仕事絡みで私とTさんが交渉し、親しくなっていた広尾の天現寺にお願いしたのである。住職は「玉芳院彩光妙雪大姉」という戒名を付けてくれた。お寺の都合もあって妻の遺体は一週間ほど杉並の家に安置し、長女一家、次女も全員泊り込んで、毎日別れを惜しみ、思い出話に泣いたり笑ったりした。
(この項続く)


  平成十三年
初旅といふも二駅三駅ほど
はぐれきて木歩の土手の冬雀
ほどほどに離れてふくら雀かな
寒鯉の七賢人のごとくあり
公魚の身じろぐほどもなく凍る
豆撒きの一度きりなる父のこゑ
三寒のあとの四温の母のこゑ
にはとりのはばたきやまず梅日和
開帳のくらがり解けぬ厨子のなか
同じこと母がまた問ふ春障子


  平成十三年
生国を言ひそれきりの遍路かな
恋雀宗祇の墓に羽散らす
義士祭耳搔き買うて帰りけり

  長女桃子 結婚
桃咲くや嫁す日も父は酒臭し
光秀の討たれし藪の筍と
陶枕のはたして中のがらんだう
みづうみはすぐに日かげる洗鯉
シロップの青おそろしきかき氷
過去帖の過去といふ過去お風入れ
山頂に一歩銀漢にも一歩

                

                      



        
 




 





銀漢の絵はがき


挿絵が絵葉書になりました。
Aシリーズ 8枚組・Bシリーズ8枚組
8枚一組 1,000円

ごあいさつにご利用下さい。





挨拶状にどうぞ・・・!

      
     







掲示板








掲示板・号外・・! 
【第六回石田波郷俳句大会】
 パリ留学中の堀切克洋同人が東京都清瀬市主催の「石田波郷俳句大会」で新人賞奨励賞に推挙されました。
 この「石田波郷俳句大会新人賞」は石田波郷にゆかりのある東京都清瀬市が、波郷の没後四十周年を記念して2009年年より毎年開催している「石田波郷俳句大会」の一環として設けられている賞です。30歳以下の作家による20句1組の作品で選考が行われ、例年、「新人賞」1名、「準賞」1~2名、「奨励賞」1~2名が選ばれています。堀切克洋同人は、「今年が応募できる最後のチャンスだったので、素直に嬉しく思っています」とのことです。おめでとうございます。

【全国俳誌協会第五回編集賞】
 9月24日(水)「銀漢」主宰宛に全国俳誌協会より「銀漢」誌が「第五回編集賞」を受賞することとなった旨、連絡が入りました。10月23日(木)表参道の「シェ松尾」にて授賞式がある予定です。詳細はその後にご報告申し上げます。

 参考までに過去に受賞した俳誌を並べておきます。
第1回全国俳誌協会編集賞  「遊牧」(代表・塩野谷仁)
編集特別賞 「あすか」(主宰・野木桃花)
「蛮」(代表・鹿又英一)
   第2回全国俳誌協会編集賞、 「天為」(主宰・有馬朗人)
編集特別賞 「菜の花」(主宰・伊藤政美)
   第3回全国俳誌協会編集賞  「沖」(野村研三主宰)
編集特別賞 「ぶどうの木」(杉本艸舟主宰)
   第4回全国俳誌協会編集賞  「秋」俳句会 (佐怒賀正美主宰)
            編集特別賞 「雲云」山本千代子主宰)
   第5回全国俳誌協会編集賞  「銀漢」(主宰・伊藤伊那男)
        編集特別賞 「かびれ」(主宰・大竹多可志)
「白魚火」(主宰・仁尾正文)

【第55回神田古本まつり・俳句大会】
 9月24日(水)神田古書店連盟会長佐古田亮介様より、杉阪大和同人の句が池田澄子、斉藤慎爾両氏の特選に選ばれ、本大会の「大賞」となった旨のご連絡を頂きました。おめでとうございます。  
  
母叱る悲しさに読む嘆異抄     杉阪大和

 尚、この大会の記録は「神田町公式ガイドブック」誌上に掲載される予定です。





      








鳥の歳時記

  













冬鵙










  
             
 
  





銀漢亭日録

伊藤伊那男

7月

7月20日(日)
午前中、髪のカット。昼、孫の学校関係四家族位が集まりバーベキューパーティー。子供入れて20数名か。私も呼ばれ、フェラーリの3リットル入りスパークリングワインのデカボトルを開けて乾杯。宴会は延々と続き
冬瓜汁などを振る舞い、寝たら9時頃起こされてバースデーケーキ用意してくれて私の誕生日祝ってくれる。帽子のプレゼントも。

 7月21日(月)
海の日の休日。「栴檀」主宰・辻恵美子さん第三句集「帆翔」の句集評5枚書く。「栴檀」誌掲載用。9月号のエッセイ2本書く。午後、杏一家来て私の誕生祝いの会と。「蟻月」のモツ鍋取り寄せ。結局今日も昼から宴会。桃・杏から萩焼の御飯茶碗、塗り箸のプレゼント。19時には酔って寝てしまう。昨日と同じパターン。

 7月22日(火)
「萩句会」あと14人店にて暑気払いの会。敦子さん千住会の仲間と。堀切克洋君パリより夏休みで帰国。思いの外多忙。

7月23日(水)
発行所8月号の発送。店、「雛句会18人。松山さん仕事仲間と。山崎祐子さん。秋の「50句鍛錬句会」申し込み40人超えたと。

 7月24日(木)
9月号の選句追い込み。店は閑散。事業部、鍛錬句会の作業。雷雨。

 7月25日(金)
15時より、発行所「門」同人会、あと7名ほど店へ。夜、発行所「金星句会」、堀切君も参加。あと店へ。暇だったので選評など。

 7月26日(土)27日)
銀漢9月号の原稿書き。 「丘の会」へ10句。第一回「神田古本まつり俳句大会」の選句、選評など。ともかく酷暑の日々。寝たり起きたり。家族は九十九里へ海水浴。

7月28日(月)
店、「演劇人句会」10人。「天為」「秋」の青柳フェイさん米国から帰国、その脚で来店。小川洋、芥ゆかり、宗一郎、佐怒賀正美さんなど集まる。山田真砂年さん。

7月29日(火)
西村麒麟君、田中裕明賞受賞祝いの会。山田真砂年、小川洋さんの提案。北村皆雄監督、今井肖子、阪西敦子、土肥あき子、鳥居真里子、望月周、村上鞆彦、山岡有以子、山崎祐子、しなだしん、屋内松山さん他。30人程。超結社で賑わう。

 7月30日(水)
(株)日本古書通信社、樽見博氏、朝妻力さんの紹介とて来店。伊丹「柿衞文庫」で講演に呼ばれ、意気投合し銀漢亭を訪ねるように言われたと。他は閑散にて21時半に閉める。

7月31日(木)
彗星集の選、選評を武田家に送信し、9月号全部終了。莉子、1週間の佐渡ヶ島臨海学校から戻ったあと、今度は友人の那須の別荘へ。宮澤は伊勢出張中。華子は合唱部の猛レッスン。店、硯児さん購読会員1名連れて。

8月

8月1日(金)
鷲巣さん東北大学・楽焼クラブの同窓会6名。他、閑散。早々に店閉める。

 8月2日(土)
9時52分の新幹線にて軽井沢。しなの鉄道にて小諸。「そば七」にて昼食。「ベルウィンこもろ」にて、第6回「こもろ・日盛俳句祭」にスタッフ俳人で参加。土肥あき子、中西夕紀さんと一緒の教室。あと懇親会あと山田真砂年、阪西敦子、和田桃さん他10数名と「酔心」にて食事会。夜の小諸城址散策してホテルに戻る、天の川を見る。


8月3日(日)
真楽寺吟行コース選ぶ。風のよい山寺。蟻地獄など見る。虚子庵を回って戻る。「笊蕎麦刻」の蕎麦うまし。午後の教室、土肥あき子、高柳克弘さんと。15時30分、佐々木終吉さん迎えに来てくれて、谷口いづみ、阪西敦子さんと嬬恋村「北軽井沢句会」の柴山つぐ子家へ。歓迎の横断幕を掲げて12名の方が待ち受けてくれている。バーベキューパーティー。山女の塩焼きをはじめ、肉、野菜他、ご馳走の山。5句出し句会をして20時、辞去。帰宅21時30分。

 8月4日(月)
昼、発行所「爽樹」環さん他の句会。あと4人店。西村麒麟、佐藤文香、村上鞆彦さん、敦子さんなど若手7人。丁度、鞆彦さん誕生日と。発行所「かさゝぎ俳句勉強会」あと10人。今日は秋元不死男と。

8月6日(水
午前中、ヘア・メイクの中川さん来たので私もカット頼む。連日の猛暑。発行所「きさらぎ句会」あと6人。「宙句会」あと9人。青柳フェイさんを囲む「天為」勢6人など。樽見さん2名。

 8月7日(木)
発行所「十六夜句会」あと7人。全体閑散。

8月8日(金)
午後、発行所「蔦句会」あと5人。夜、発行所「大倉句会」あと12人。家族は午後の便で沖縄行。石垣島と本島、半分ずつで20迄。

8月9日(土)
10時、発行所にて運営委員会。昼、「いもや」の海老天。14時より「銀漢本部句会」57人出席。私の句は不調。あと「随一望」にて親睦会。来週、店は盆休みにて害虫駆除などして帰る。

8月10日(日)
台風接近で風雨強し。1日、原稿書き。礼状、平成俳壇選句。このあと、そうめんや冷蔵庫の野菜などを食べて執筆とうたた寝の日々。

8月15日(金)
菅原庄山子さんよりだだちゃ豆到来。午後、高井戸、杏の家。婿のご両親も来てパーティー。庭全部をウッッドデッッキにしたのでなかなか快適。杏、子供できた様子、つわりひどい。3人目!

 8月16日(土)
「纏句会」、日本橋「与志喜」休みにて発行所。ところが直前に山田真砂年さんより電話あり、本日は勉強会に貸し出しの先約があったことを知る。急遽、銀漢亭にて句会。13人。あと「上海美食」にて食事しながらの句評。終了後、店に戻り、月曜日用の仕込みを21時まで。

 8月17日(日)
夏休みの最終日。10月号の選句終える。今日あたり家族は沖縄本島に移動したか。

 8月18日(月)
堀切克洋君を囲む句会。25人ほど集まる。兼題「成」「吉」「思」「汗」の四文字詠み込み4句。今日、成吉思汗の命日と。あと、「文」「永」「役」で3句。



         
     
       



   
    







今月の季節の写真



2014年11月19日撮影   烏瓜     HACHIIOJI






花言葉  「ひかえめな愛」「理想的な愛情


写真は4~5日間隔で掲載しています。 

2014/11/20 更新


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