銀漢の俳句
伊藤伊那男
◎和歌と二つの関所
昨年、近江と京の間の逢坂関を訪ねた。今年は何回目かになるが、福島県いわき市の勿来関を訪ねた。何れも古来繰り返し和歌に詠まれている関所跡である。私は和歌に疎いが、心境の変化であろうか、この頃好きになってきた。今更ではあるが、源義家の〈吹く風をなこその関と思へども道も狭に散る山桜かな〉の旨さに舌を巻いた。「勿来」の地名を生かして「桜を散らせることを止めてくれると思ったのに、道を狭めるほどに散っていることよ」と嘆く。勿来関は念珠ヶ関、白河関と共に奥州と三関と呼ばれる。今の住居表示はいわき市勿来町関田であり、JR勿来駅が近い。義家の像、歴史記念館、整備された石畳の道があり、もはや否定できない状況であるが、実はその正確な所在は不明なのである。磐城説は勿論あったが証拠が無い。遠江説や多賀城近辺説もあるようだが、江戸時代後期からここ磐城説に傾いていったようである。ともかく「勿来」の言葉の響きや意味の深さ、繰り返し詠まれた和歌の数々から、どこかに比定しないと納まらなくなったのであろう。まさに「言霊)」の力である。今回私が特に感動したのは和泉式部の歌である。〈名古曾とは誰かは云ひしいはねとも心にすうる関とこそみれ〉。「来ないでなんて誰にも言っていないわ。あなたが勿来関みたいに心の隔りを作って私に会いに来ないだけでしょう」と苦言を返すのである。勿来を「心に据えた関所」と捉えたのは式部の凄みを垣間見せる卓見である。
次は逢坂関。関跡は滋賀県大津市逢坂、京都府との県境である。不破関(関ヶ原)、鈴鹿関と共に三関の一つ(平安初期までは越前の愛発関であった。実はこの関所の正確な所在地も不明である。ただし国道一号線や京阪電車、JR東海道線が並走する狭隘の地であり、勿来関と違ってこの辺りにあったことは確かである。この関を詠んだ歌に〈これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂関 蟬丸〉〈夜をこめて鳥のそらねをはかるとも世に逢坂の関はゆるさじ 清少納言〉がある。蟬丸の歌は「行くも帰るも」「知るも知らぬも」「別れても逢坂」と反対語を並列して人の世の哀感を詠む調べのいい歌だ。清少納言は中国の函谷関で鶏の声音を真似て朝が来たと関守を騙して開門させたという故事を引いて「私はそんな騙しには乗りませんよ。あなたが逢いに来るのは許さないから」と反撃をする。清少納言らしく知的で強気な発想の歌である。
「勿来」「逢坂」と各々和歌に籠められた「言霊」の強さである。
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彗星集作品抄
伊藤伊那男・選
運針の大波小波真砂女の忌 本庄 康代
諏訪の湖ちかき宿りの洗鯉 谷口いづみ
酔筆の墨は濁らず井月忌 有賀 理
春愁や語尾濁さねばならぬこと 笠原 祐子
佐保姫に出迎へらるる籠りの僧 谷岡 健彦
野遊びやまだ温もりのにぎり飯 竹内 洋平
最後まで仲良く泣いて卒業す 本庄 康代
黒木御所潮の香ふくむ桜東風 塚本 一夫
船を追ふ子らに加勢の春の風 島 織布
年月のピアノの上の古雛 清水美保子
山笑ふ山のひとつひとつに名 森 羽久衣
紅梅や魚板の告げる寺の朝 大槻 望
ままごとも嬶天下や春炬燵 川島秋葉男
蝌蚪の紐水にからまる日和かな 渡辺 花穂
遺品めく真綿の中の桜貝 萩原 陽里
海女小屋に鍵束鳴らす夕かな 荻野ゆ佑子
初蝶の墓前の供華にはや来る 高橋 透水
倒れたるままのひと夜を紙雛 竹内 洋平
愁ふる目に見つめられつつ雛納 杉阪 大和
涅槃より始むる僧の絵解きかな 戸矢 一斗






伊藤伊那男・選
今回はお休み致します。


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銀河集作品抄
伊藤伊那男・選
仏教の来し方たどり黄沙来る 東京 飯田眞理子
魚は氷に上り少年木を攀づる 静岡 唐沢 静男
雪止んで御伽の国にゐるごとし 群馬 柴山つぐ子
座敷またもとの暗さに雛納 東京 杉阪 大和
ほろと出る江戸の話も井月忌 東京 武田 花果
啓蟄やそろそろ孫の来る頃か 東京 武田 禪次
雪卸茂吉の山河近々と 埼玉 多田 美記
全身を桶に預けて磯なげき 東京 谷岡 健彦
凍蝶の彼岸此岸の風に舞ふ 神奈川 谷口いづみ
軒つらら古色の染むる奈良井宿 長野 萩原 空木
卒業の日の一湾をまぶしめる 東京 堀切 克洋
春寒し神将燭を眼に宿し 東京 三代川次郎




伊藤伊那男・選
出合ふ時しばし攻め合ふ雪解川 東京 飛鳥 蘭
恋猫となれぬ猫抱く膝の上 東京 有澤 志峯
銀嶺は伊那の神棚犬ふぐり 神奈川 有賀 理
満開の香とうべなへる梅見茶屋 東京 飯田 子貢
力餅売る峠駅山笑ふ 山形 生田 武
春風や艇庫の扉鳴りやまず 埼玉 池田 桐人
初つばめ宙切る翼縫ふつばさ 東京 市川 蘆舟
野辺に読む聖書や東風の繰るままに 埼玉 伊藤 庄平
銭洗弁財天の水温む 東京 伊藤 政
種芋の泥ねんごろに落しけり 神奈川 伊東 岬
春の雪睫毛にとどむ井月忌 東京 今井 麦
涅槃西風あえかに揺るる五色幕 埼玉 今村 昌史
枝枝の影に三月舞ひ降りぬ 東京 上田 裕
湖ひとつ雪間となりぬ諏訪日和 東京 宇志やまと
釦屋の小箱のあまた春隣 埼玉 大澤 静子
露座仏の背の戸に鍵や揚雲雀 神奈川 大田 勝行
初心てふものは老いにも蘆の角 東京 大沼まり子
放牧の草芳しき牛の乳 神奈川 大野 里詩
梅が香の真中に御座す阿弥陀堂 埼玉 大野田井蛙
鷹鳩と化しオリーブの葉を探す 東京 大溝 妙子
甕に活く大枝の梅ゆるびけり 東京 大山かげもと
茹で上げてそれほど減らず芹の嵩 東京 岡城ひとみ
恋猫の恋する髭の折れ曲がり 愛知 荻野ゆ佑子
人を待つあはひ梅見の梅ひらく 宮城 小田島 渚
雁風呂や枯藻を焚けば火の青し 宮城 小野寺一砂
しめりある光こぼして春の月 埼玉 小野寺清人
春めくや玩具のやうな電車来て 和歌山 笠原 祐子
どの風に靡かせようか春ショール 東京 梶山かおり
たましひの散らばつてゐる寒昴 愛媛 片山 一行
木挽町辺りの朧月夜かな 東京 桂 説子
登窯の煙一筋鳥雲に 静岡 金井 硯児
湖国なる旅のはじめの蜆汁 東京 我部 敬子
転校の子の渡り行く二重虹 東京 川島秋葉男
杼のごとく木の間行き交ふ百千鳥 千葉 川島 紬
流氷の難民のごと流れ寄る 神奈川 河村 啓
囀の喉膨らむ鶲かな 愛知 北浦 正弘
寝返りは打てぬ寝台涅槃像 東京 北川 京子
その重き雪の名残を搔きにけり 長野 北澤 一伯
春来る浜に吊られし潜水具 東京 絹田 稜
忘れやすきものに足裏麦を踏む 東京 柊原 洋征
兜太の地なれば血気の山くぢら 東京 朽木 直
貝寄風の砂に残せし風の紋 東京 畔柳 海村
刳り椀の木目の著き蜆汁 東京 小泉 良子
朳摺る烏帽子に光集めては 神奈川 こしだまほ
霾や噎せて散らばる粉薬 千葉 小森みゆき
散らからぬやうひと撒きの年の豆 東京 小山 蓮子
春泥の漢山火事饒舌に 宮城 齊藤 克之
ものにみな影あり春の愁ひあり 青森 榊 せい子
引鶴のこの世逃れるやうにかな 長崎 坂口 晴子
利休忌の軋みの目立つ躙り口 長野 坂下 昭
日の丸のアルミ弁当山笑ふ 群馬 佐藤 栄子
公魚の銀の犇く厨かな 群馬 佐藤かずえ
雛納仕舞にたたむ緋毛氈 長野 三溝 恵子
釉薬の流れをなぞる春愁 東京 島 織布
磨かれし指貫を添へ針供養 東京 島谷 高水
天守から声の溢るる梅日和 兵庫 清水佳壽美
蕗味噌や母の好みし手塩皿 東京 清水 史恵
春炬燵湯吞み茶碗のそのままに 東京 清水美保子
つつ抜けの空に鳶舞ふ龍太の忌 埼玉 志村 昌
かたち無きもんじやの形春の月 千葉 白井 飛露
薄墨を薄紫に春の山 神奈川 白井八十八
柊挿す梲の古ぶ紺屋かな 東京 白濱 武子
白梅や孫の祈願に湯島まで 東京 新谷 房子
城に戸を大きく開けて梅見茶屋 大阪 末永理恵子
大粒は十年として節分会 岐阜 鈴木 春水
梅見茶屋梅の形の菓子抹茶 東京 鈴木 淳子
割烹着掛けあり母は針納 東京 鈴木てる緒
金環を纏ひ進めり寒の雲 群馬 鈴木踏青子
鳥声も吸はれゆくかの花曇 東京 角 佐穂子
谷底へ落石一つ冴返る 東京 関根 正義
航跡をまたぎて来たり鰆東風 千葉 園部あづき
恙なくまた相見ゆ軒つばめ 埼玉 園部 恵夏
剪定の男上から声投げて 神奈川 曽谷 晴子
薬売り安心を置き草朧 長野 髙橋 初風
根の国の一夜泊りや蜆汁 東京 高橋 透水
秩父路や撓るがままに野梅咲き 東京 武井まゆみ
雛の眼を薄く覆ひて納めけり 東京 竹内 洋平
やまびこの時には違へ山笑ふ 東京 竹花美代惠
建国日神の御名を仮名で追ふ 神奈川 田嶋 壺中
二月堂まで春泥の暗がりを 東京 多田 悦子
殻はづす手間も歓び蜆汁 東京 立崎ひかり
眠りから覚む種芋の深き穴 東京 田中 敬子
漬物の樽の薄氷割る信濃 東京 田中 道
先頭のいつか殿山笑ふ 東京 田家 正好
待春の花びら重ね飴細工 東京 塚本 一夫
大の字を淡く浮かせて山笑ふ 東京 辻 隆夫
海深し海女の居場所を告ぐる桶 ムンバイ 辻本 芙紗
啓蟄の潦より泡一つ 東京 辻本 理恵
春北風に絵馬鳴り出して鳴りやまず 愛知 津田 卓
冴返る裸子いだく処女マリア 東京 坪井 研治
雪搔くや太郎次郎も手伝うて 埼玉 戸矢 一斗
ボルドーの白にしませう蕗の薹 千葉 長井 哲
早春の光を手繰る水車かな 東京 中込 精二
春眠し湯船に次の子を待てば 大阪 中島 凌雲
朝市の菠薐草の元気買ふ 東京 中野 智子
火の花の名跡を継ぐ牡丹の芽 東京 中村 孝哲
掘割を伝ふ潮の香浅蜊飯 茨城 中村 湖童
村の名も字の名も消え鳥雲に 埼玉 中村 宗男
種袋回転棚をひと回し 東京 中村 藍人
北窓を開きピアノの蓋も開け 長野 中山 中
阿弖流為の地に数条の野火煙 千葉 中山 桐里
雛流し波をな立てそ加太の海 大阪 西田 鏡子
厨より亀の子束子の亀鳴けり 埼玉 萩原 陽里
折鶴に息をかよはす光悦忌 東京 橋野 幸彦
椿落つ椿の木蔭転げ出て 広島 長谷川明子
如月や風乾く日々重ねつつ 東京 長谷川千何子
春月の大きく上る西の京 兵庫 播广 義春
蕗味噌の苦みの中の母郷かな 埼玉 深津 博
立春ややや大き目の鞄買ふ 東京 福永 新祇
二日目も春雪しきり積もらざる 東京 福原 紅
彼岸宿さしみ蒟蒻主菜なる 東京 星野 淑子
蕗のたう谷を谺の転がり来 岐阜 堀江 美州
さざめきてげんげ互ひの影持たず 埼玉 本庄 康代
春の宵故なく物を思ふかな 東京 松浦 宗克
渡し場のゆらぐ踏板葦の角 東京 松代 展枝
田の神へ子等の供へし土筆かな 神奈川 三井 康有
ポスターは昭和のままに海女の小屋 神奈川 宮本起代子
春の雲慈母の姿に似て優し 東京 村田 郁子
月山の麓の宿の古雛 東京 村田 重子
診察室に春愁の忘れもの 東京 森 羽久衣
鳥帰る鳥海山は雲の上 千葉 森崎 森平
魚は氷に上り山河の風を知る 埼玉 森濱 直之
塩の道辿れば海に鳥帰る 長野 守屋 明
子の息に親の息乗せ風車 東京 矢野 安美
恋文の紙飛行機や鳥雲に 愛知 山口 輝久
蕗の薹土くれ跳ぬる力かな 群馬 山﨑ちづ子
ぼたん鍋昭和のままの店構 東京 山下 美佐
鳴き龍を鳴かせてよりの涅槃寺 東京 山田 茜
あした待つ蕾の数や卒業す 東京 山元 正規
早梅や眼下に明かき熊野灘 東京 渡辺 花穂






銀河集・綺羅星今月の秀句
伊藤伊那男・選
今回はお休み致します。






伊藤伊那男・選
秀逸
今朝の雪昨夜の雪を搔きをれば 広島 小原三千代
木曽駒の太き嘶き厩出し 栃木 たなかまさこ
縁側に午後の日溜り仔猫欲し 神奈川 西本 萌
捩れをる幹また捩れ梅真白 千葉 針田 達行
芽柳の長きに結ぶ御籤かな 千葉 平山 凛語
春日影玉虫色の鳩の首 東京 北野 蓮香
蒼穹に穂高岳あり木の芽和 長野 浦野 洋一
背徳の微々雛菓子を盗み食ひ 東京 西 照雄
山茱萸の古色龍太の忌なりけり 埼玉 水野 加代
春一番二番ホームの発車ベル 東京 尼崎 沙羅
見えぬまま少しふるへる子猫かな 長野 桜井美津江
恋歌の多き島唄鳥交る 東京 髙坂小太郎
職辞して憶ふ故郷鳥雲に 長野 池内とほる
春の雪に旅の予定を上書きす 東京 伊藤 真紀
無頼派の墓は密かに花こぶし 東京 飯田 正人


星雲集作品抄
伊藤伊那男・選
名画座の重たき扉春の闇 東京 井川 敏
揚雲雀関八州を見下ろせり 東京 一政 輪太
みどりごは十まで我も青き踏む 広島 井上 幸三
春雪のいつしか雨に耳澄ます 長野 上野 三歩
春闘も今や昔に貸布団 東京 上村健太郎
ふるさとは和紙の里なり山笑ふ 埼玉 梅沢幸子
暖かや砂洲消ゆるほど潮満ちぬ 静岡 大槻 望
縮緬のお宝揃へ吊し雛 群馬 小野田静江
ひもすがら半島かすみゐて遠し 静岡 小野 無道
見つけてもいつも片方桜貝 埼玉 加藤 且之
ひとひらと数ふや春の雪のきて 長野 唐沢 冬朱
靴裏に挟まる小石春愁 愛知 河畑 達雄
朧夜の語らふことの不確かさ 東京 北原美枝子
日捲りの捲り忘れも二月かな 東京 久保園和美
こそばゆきほほずり少し母子草 東京 熊木 光代
春の風邪自分のための玉子粥 群馬 黒岩あやめ
雛祭るここは伊香保の石段街 群馬 黒岩伊知朗
何気なく思ひ立ちたる伊勢参 愛知 黒岩 宏行
点滴の夕陽に染まる目借時 東京 佐々木終吉
耕しの仕度そろそろ土恋し 群馬 佐藤さゆり
春の夜の三面鏡は迷宮に 東京 島谷 操
桜貝乙女の夢の色残す 東京 清水 旭峰
通り雨春呼ぶ雨であらまほし 千葉 清水 礼子
草萌や真田を偲ぶ城跡に 群馬 白石 欽二
夏はじめ歩荷にゆづる荷揚げ道 大阪 杉島 久江
寄生木の眠りを諭す涅槃西風 東京 須﨑 武雄
おみくじの小吉の文字浅き春 愛知 住山 春人
白魚に潮の香ほのか舌の上 埼玉 其田 鯉宏
下萌に鳩の遊びし駅の裏 東京 田岡美也子
男こそ見栄えが大事雉子鳴く 東京 髙城 愉楽
白梅や白楽天の世に遊ぶ 東京 寶田 俳爺
故郷はどこも親戚桃の花 埼玉 武井 康弘
イヤリング波打つそれは桜貝 京 田中 真美
抜けし首入れ奉り雛納 広島 藤堂 暢子
春の風邪うつす相手に先立たれ 埼玉 内藤 明
紅梅や蒼穹を突く裏妙義 群馬 中島みつる
花吹雪彼方の富士を隠したり 神奈川 長濱 泰子
盆梅の蕾見守る道真社 京都 仁井田麻利子
竜天に登る津津浦浦の望楼に 宮城 西岡 博子
利休忌の衣擦れの音雨が消す 東京 西田有希子
常しへと言ふは果無し春の雪 静岡 橋本 光子
針山に潜りし針も針供養 東京 橋本 泰
良きことは記憶の奥に春愁 長野 馬場みち子
オルガンに静かな呼吸風信子 神奈川 日山 典子
一斉に唄ひ出すかにチューリップ 千葉 平野 梗華
マスク取り幼馴染みと分かり合ふ 長野 藤井 法子
蛇穴を出て悪童と鉢合せ 福岡 藤田 雅規
雛の髪ややほつれけり子も四十路 栃木 星乃 呟
初雲雀竹馬の友よ我は此処に 東京 幕内美智子
しやぼん玉出窓ななめに横切つて 東京 松井はつ子
春障子母の呼ぶ声するやうな 東京 南出 謙吾
捨仔猫麒麟とならむ面構 愛知 箕浦甫佐子
森を出で森の明るし幣辛夷 東京 宮下 研児
房総や下れば春の空広し 東京 無聞 益
うららかや互ひの杖となる齢 宮城 村上セイ子
老いぬれば耳にも遠し百千鳥 東京 家治 祥夫
瀬戸は今鰆東風吹く頃なりき 神奈川 山田 丹晴
鷹鳩と化し胸張りて餌をもらふ 静岡 山室 樹一
雛飾る母の実家の匂かな 群馬 横沢 宇内
子は男ばかりなりけり桃の花 神奈川 横地 三旦
早世の叔父のロザリオ入彼岸 神奈川 横山 渓泉
穴出でし蛇の蛇行やぎこちなし 千葉 吉田 正克
虹の下ゲルニカ村に爆撃機 東京 若林 若干
この気配そこにおはすは佐保姫か 東京 渡辺 広佐






星雲集 今月の秀句
伊藤伊那男
今回はお休み致します。








更新で5秒後、再度スライドします。全14枚。



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Haishi etc





挿絵が絵葉書になりました。
Aシリーズ 8枚組・Bシリーズ8枚組
8枚一組 1,000円
ごあいさつにご利用下さい。












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